世界のユースセンターを巡る旅人

世界を旅する日本人とフランス人の話。

フランスにユースワークってあるの?

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フランスに1年滞在し、行く先々でユースワークを探し歩きました。満足いくほどではありませんでしたが、今回はその結果を発表したいと思います。

大学で習ったユースワーク

ユースワークという言葉を大学で初め聞いたのは3年生のとき。特に習ったのは北欧スウェーデンの事例です。北欧の民主的で積極的に行われているユースワークに触れ、ユースワークに魅了されました。

さて、フランスにはユースワークがあるのか

まず、私達が直面したのはこの課題。フランスにユースワークってあるの??ユースワークという言葉を学校の先生やカルチャーセンターの人に聞いても知っているわけではなく、フランス語に翻訳してみようとも、欧州評議会EUで定義されているフランス語が違っていたりと、非常に探りづらいのです。

フランスでは、「ユースワーク」は単一の定義だけではなく、単一の法律によって管理されているわけではありません。*1

欧州評議会によると、フランスにはユースワークというジャンルは確立されていないものの、社会文化活動の中でユースワークのような事例がみられるそう。つまりカタカナフランス語のアニマシオンがあって、その一部にユースワーク的活動がみられるよね?っといったことのようです。それでは探っていこうというわけで、私達はフランスを移動する度にカルチャーセンターやユースという名の付く施設を尋ねてみました。

また、サマーキャンプや職業サポートをユースワークと呼ぶ場合もあるようですが、今回はそれを抜いた、継続して開かれている若者が主体的に自由な活動を出来る場を視野に入れています。

マルセイユの状況はいかに

フランスの南、マルセイユに行ったときには、現地の若者からそれらしきものがあるという情報を得て、訪れてみました。その施設が↓

結論からいうと、ここは私達が追い求めていたユースセンターではない。。後から教えて貰ったことでは、いわゆるサポステのようなものだそうです。若者の失業者が多いマルセイユならではの状況かも知れません。ここ以外には、グーグルマップ上で目立つ場所もなく、時間も無く、探りきれなかった感が強いですが、、私達には発見できませんでした。

ストラスブールの状況はいかに

フランスの北東、ストラスブールには欧州評議会があり、ヨーロピアンユースセンターというものがあると聞き「それは行かなければならない」というわけで唐突に行ったのですが、、

という無残な結果に。その後、達平さんにお誘いいただき、2ヶ月後に要約念願のヨーロピアンユースセンターに入ることが出来ました。

そんな感じで、ヨーロピアンユースセンターは近くの若者が「ちょっと行ってくるわ」みたいな場所では無く、フランスのユースワークをしている現場とは言いがたいものでした。ですが、流石、欧州評議会の施設!学びが溢れていました。

ストラスブールの街としては、カルチャーセンターが充実していたのが印象的でした。

ただここでも、若者の居場所があるわけでもなく、、ストラスブールでは比較的裕福な若者が多く、彼らは都会に出向いて習い事や遊びをするんだそう。そして宗教的つながりのある若者はそこでコミュニティができたりするため、カルチャーセンターのような場に若者はあまり来ないという話をそこの方々に伺いました。

はたしてフランスに、ユースワークはあるのでしょうか。。。

ユースワークは足下に

実は私達が住んでいる場所(田舎)から一番近い街サン=タヴォルに、MJC(ユース&カルチャーセンター)というなんとも若者が集まりそうな場所を見つけたのです。しかし、実際に訪れたところ、若者の姿はゼロ。小さい子供から大人まで幅広い年齢の人を対象とした講座を主にしているよう。

そこで「分からないときは、その施設の人に聞こう!」というモットーのもと、尋ねたところ、いきなり社長とお話することに。その結果、私達は日本語の授業と書道の授業をすることになったのですが、そのことは置いておいて、、、

ユースワークの実態はというと、かつては確かに存在していたのですが、ここ数十年の間は特にそのような場が開かれていないという事実を聞きました。だが、、、私達が訪れたその年から、新しい社長のアイデアによって若者が自由に来られる場が誕生するという新しい情報をもらいました。

その場所の様子がこちら↓

mayonakanoonara.hatenablog.comそこでは確かに、私達がイメージしていたものに近い、若者が自由で主体的に活動できるユースワークが行われることになりました。そして私達はユースワーカーとして、そこの活動に関わらせていただくことにもなったのです。 

2020年ヨーロッパ若者の首都「アミアン」は?

ヨーロッパ若者の首都に選定された、フランスの北に位置するアミアン。若者の首都に選定されるからには、ユースワークは、、、そうです、ありました!アミアンには、地域ごとにユースセンターやカルチャーセンターのような施設があり、特に若者中心の居場所を整備しているような施設もあります。また、若者が非常に多いこの街では、ワーカーがバーに行って、若者と話す何てことも行われていたり、若者議会が活発的に活動していたりと、余暇活動と参加が入り交じるような光景がありました。

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というわけでここにもユースワークはあります!

小さな街にも「トゥルヴィル= ラ=リヴィエール Tourville-la-Rivière」の事例

ノルマンディーの首府にあたる街ルーアンのほど近くにある、トゥルヴィル= ラ=リヴィエール。人口約2000人の大きいとはいえない街ですが、ここにもユースセンター的な施設がありました。施設はなんとプレハブ!

街が中心となって運営するこの施設は、中高生、20代向けですが、幼稚園からそういった場が提供されているんだそうです。隣には自由に使える大きなグランドもあり、若者の欲望を満たしていそうな環境でした。

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結論!フランスにユースワークは、、、

私達がフランスの一部を旅した結果、ユースワークは確かに存在します。ただ、ユースワークを知って活動している人はどのくらいいるのだろうか、というのは疑問です。ユースワークという言葉や定義、内実が多く知られていないため、ユースワークというよりかは「アニマシオンとして若者の為の居場所、余暇活動、学校外活動やっているよ!」「私はそんなところで、アニマトゥールやってるよ!」という意識はあります。

単にユースワークという言葉を主体にして、フランスにおいて比較や調査することが間違っていたのかもしれませんね。

 

以下、補足と所感です。。

フランス全土にあるアソシアシオンMJCには、若者のノンフォーマル教育と居場所を提供するという目的設定があるため、ユースワークに取り組むところがある可能性が有ります。ただし、MJCサン=タヴォルの社長に尋ねたところ、ユースワークのようなものをやっているような施設はなかなかないのではというお話でした。

また、基本的に若者の失業率の高いフランスでは、どこの地域でも職業のための施設は充実しているのが印象的です。欧州評議会のレポートでは、それもユースワークとして扱っている側面がありました。ただ、私達的には少し違う感じがしたので、今記事では紹介していません。↓こちらがそのことに関しての記事です。

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最後に、もしこれを読んでみて「フランスのここでユースワークやってるよ!」というアイデアある方がいらっしゃいましたら、教えてください。よろしくお願いいたします。