フランスはとても”いじめ”が多い国。ユースセンターに関わる私達は、中高生から”いじめ”についての話を聞くことが多くあります。今回は、そんなフランスの”いじめ”の全体像を見ていきたいと思います。
70万人が”いじめ”被害にあう
DEPPによる調査では、小中高校生の70万人が対面環境で”いじめ”の被害にあっているとされています。小中高のパーセンテージとしては小学生12%、中学校10%、高校4%という内訳です。
一番多い”いじめ”としては、言葉を使ったものです。具体的には、罵倒するようなことや、お金をくれと強要する、馬鹿にする、酷いニックネームをつける、脅迫をするなどの言葉によるものです。
他には、暴力的な”いじめ”や、性的な”いじめ”などもあります。
5人に1人がネットでいじめられる
2016年の調査によると、女子中高生は20%が見た目について、ネット上で”いじめ”の被害に遭っています。男子中高生は13%です。
主なSNSはFacebookやSnapChatだとされています。見た目について誹謗中傷するようなことが一番多く起きています。
SNSを用いた噂に関する”いじめ”も目立っています。13%の女子中高生、6%の男子中高生がその被害に遭っています。
”いじめ”を無くすための取り組み
近年は、とくにネット上での”いじめ”を無くすための取り組みが目立っています。フランスでは6%の学生がネット上で酷い”いじめ”にあっています。
e-Enfanceはフランス国家の教育部門と協力して行っている団体で、ネット上で”いじめ”を無くすための取り組みをしています。”いじめ”されている人が連絡できる場所であったり、”いじめ”を解決するための具体的な案が書かれています。
例えばこの動画
誰かが「死ね」みたいな事を言って、それをいろんな人が「いいね」していくというもの。e-Enfanceはこのような呼びかけを中心にしています。
日本と比較して考える
日本のいじめの数が、1000人に対して約30件という計算(2017年)とDEPPを比較してみると、フランスの”いじめ”数の多さが分かるかと思います。また、日本でもネット上の”いじめ”というのが出てきているように、フランスでもかなり問題視され、具体的な取り組みが始まっています。
今回このブログを書くに当たって、”いじめ”を具体的に線引きするラインが曖昧なことにより、調査によってかなり差があることがわかりました。
例えばUNICEFによる調査では、フランス人学生の3人に1人が”いじめ”被害に遭っているとされています。また、PISA調査に基づいて制作されたもの(図録▽いじめの国際比較(PISA調査))では、日本の方がいじめ件数が多いなどまた違いがあります。
”いじめ”に関しては、文化・社会的な違い等を吟味して、調べていく必要がありそうです。
参照:
・Association de protection de l'enfance sur internet | e-Enfance
・Journée nationale de lutte contre le harcèlement scolaire, 7 novembre 2019 - ÉCOLE ET SOCIÉTÉ