MJCの歴史
フランスには、ユース＆カルチャーの家（以下MJC）が様々な地域にあります。MJCとはMaisons des Jeunes et de la Cultureの略で、直訳すると「若者と文化の家」という意味です。MJCは主に、日本の公民館のような役割を果たしつつ、各地域でさまざまな取り組みをしています。
フランス全土に広がるMJCがどのような歴史をたどってきたのかを見ていきながら、MJCの目的を確認したいと思います。
MJCがフランス全土にある理由
20世紀、MJCがフランスで初めてできたのはパリだと考えられています。また同時期頃に、フランスの他地域にもそのような施設はできてきたといわれています。
それらユースや文化のための施設（まだMJCという名であったかどうかは不明）に大きく変化を与えたのは、第二次世界大戦でした。
1944年パリ解放後、国家のサポートを受けてリヨンで始まったのが、「若者の共和国」という団体です。彼らはパリ解放後のフランスを建て直したいという想いの中で、人間関係の再興から始めなければならないと考えました。そこで特に未来を背負う若者達のために何かをしようとしたのです。
「若者の共和国」のリーダーの言葉にヒントが残されています。
「私たちは数年間だけで1つの村や街に最低1つずつ、MJCのような施設があるようになって欲しい。何か部屋を使って、フランスの文化の家、若者の家、国民の居場所のための空間をつくる。どんな名前でもいい。行った人達に映画館や園芸、図書館、新聞、雑誌、本など、幸せと光が必ずある場所。人が必ず行く場所。そんな場所がうまれて欲しい。」
彼はこのように、今後のフランスを背負っていくであろう若者を中心に見据えた交流できる場、楽しく文化活動に専念できる場をフランス全土に設けようとしました。つまり地域にMJCを作ることで、そこをベースにフランス人が連帯し、人々が協力して国を建て直すことを目指したのです。
そして「若者の共和国」は、フランス全土の若者教育や社会教育をしている現場をまとめ始めました。そして1948年に、Fédération française des Maisons des Jeunes et de la Culture（以下FFMJC）フランス・ユース＆カルチャーの家連合が発足しました。
現在フランス全土（特に都会や街が中心）にMJCが広がる理由には、このパリ解放後の一連の動きによる影響があります。
FFMJCの分裂
同盟が始まってから20年後の1969年から、徐々にFFMJCから抜け始めるMJCが出てきました。地方分権と地方自治を求めたMJCがFFMJCから抜けていったのです。
そしてFFMJCから抜けたMJCによって、新しい連合ができていきました。
FFMJCから抜けたMJCで構成される「UNIREG」と「AREGESｰMJC」の2つの連合は、1994年にトゥールーズで取り決めのサインをし、Confédération des Maisons des Jeunes et de la Culture de France（以下CMJCF）フランス・ユース＆カルチャーの家同盟という現在最大級のものが1999年にできました。そこに、各地方のFFMJCを抜けたMJCも加盟していったのです。
CMJCF
CMJCFに加盟するMJCの根本の目的は、都市や街そこに住んでいる民族や若者、団体と協力して戦争のせいで分裂した人間関係を取り戻していくことです。
FFMJCからさまざまなMJCが抜けてできたCMJCFには、傘下に地域ごとのMJC連合も未だ残されています。地方分権や地方自治に関して同じような意見があり、地域ごとのMJC連合やMJCがCMJCFの取り決めにサインしていきました。
そして現在
フランス全土にフランスCMJCFが900カ所、FFMJCが560カ所あります。高校や中学校などがある街や都市のほとんどにMJCがあります。大きな都市では、複数のMJCがある場合もあります。MJCは現在も人々のために開かれ、日本の公民館てきな役割を果たしつつ、文化活動の中心になっています。
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参照：https://www.60ansdesmjc.fr/spip.php?article14
：https://www.mjc-lezignan-corbieres.com/Les-MJC-en-France_a202.html
今回は、おおまかな歴史をまとめました。今後、徐々にMJCの具体的な様子も紹介していきます。
