世界のユースセンターを巡る旅人

世界を旅する日本人とフランス人の話。

数字でみるオーストリアのユースワーク

オーストリアは、北海道とほぼ同じ面積にして約892万人(大阪府くらい)が暮らす、ヨーロッパの中央辺りに位置する国です。そんなオーストリアでは、2009年にオープンユースワークのネットワーク(bOJA)が確立されて以降、州、連邦レベルでユースワークの調査・研究が熱心に行われています。

そこで、コロナが流行する前の2018年にbOJAで行われた調査を参考*1に、国レベルのネットワークに参加しているユースワーク現場の全体で明らかにされた数字を紹介したいと思います。

 

 

ユースワークの数

オーストリアには、341のユースワークを実勢している機関があります。そのうちの52%がアソシエーション、40%が地方自治体、8%がその他(宗教団体など)です。

存在しているユースワークの大半にあたる87%がオープンユースワークです。主にユースセンターという若者のためにある常設の施設、拠点で活動しているものです。ユースセンターの数としては637施設あります。

残りの13%はモバイルユースワーク、移動型のユースワークと呼ばれるものです。

活動資金

ユースワークにおける活動資金は、3分の2が地方自治体からで、3分の1が州からの補助金という割合になっています。プロジェクトによってまた別の資金調達方法を実践していたり、スポンサーシップを組むようなユースセンターもあります。

ユースワークに関わる若者

ユースワークに関わる若者の数は、毎年約25万人です。

若者の年齢としては、12才未満:17%、12~15才:34%、16~20才:32%、21才以上:17% となっています。男女比でいうと、女性31%・男性61%という数字です。

ユースワーカー

ユースワーカーの数は、少なくとも2,000人はいるといわれています。

オープンユースワークに携わるユースワーカーの61%は、高等教育機関で社会教育学やソーシャルワークの資格を取得しています。27%のユースワーカーは、ユースワークのネットワークで開催されているトレーニング講座などのノンフォーマルではない形でユースワークについての教育を受けています。残りの12%は、インターンなど学んでいる途中のワーカーや他業種からの転職、ユースワークに関する特定の学びを受けていない人たちになります。

ユースワーカーは女性が59%、男性が41%という割合です。

日本に置き換えると、、

現在の日本(1,257億人)は、オーストリアの約14倍の人口です。単純に14倍で比較してみると、ユースセンターの数は8,918カ所(中学校総数が約10,000なので、だいたい1つの中学校に1施設)。ユースワークに関わる若者は350万人(中高生の約半分)。ユースワーカーとして働く人の数は28,000人です。

ユースワークがみんなの手に

以上数字で見てきたように、オーストリアでは若者がオープンユースワークに触れやすい環境が整っているといえます。

確かに私たちが旅をしているとき、あちこちでユースセンターを見つけることが出来ました。私たちの感覚だと、大都会になればなるほどモバイルユースワークが多く、田舎では中学校の近くにユースセンターが併設されている印象があります。

当ブログでは今後、具体的にこの数字の背景にあるものを探っていきたいと思います。そして目で見た事例も少しずつ紹介していきます。

 

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