世界のユースセンターを巡る旅人

世界を旅する日本人とフランス人の話。

フランス人はバーが減ったから教会に行かなくなった!

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あるフランス人にこんなことを言われたことがありました。

「フランス人は昔、教会に行った後、みんなでバーやカフェに行くのが楽しみだったんだよ。でも今はバーが減ってしまったからね。だから教会に行く人も減ったんだとと思うよ。」

本当なのでしょうか。宗教離れだと歌われていた裏側に、このような事実があるのかどうか実際に調べてみました。

 

 

バーの減少

まずバーの減少について見ていきたいと思います。

1960年に600.000のバーやカフェがフランスにはありました。それが2016年までに、34.000にまで減少しました。フランスではここ最近、1年に7000件ペースでバーやカフェが閉店していっています。*1この数のほとんどは田舎地域で、パリなどの都会では逆に増加傾向にある場所もあります。つまりフランスの田舎を中心とした全体で、バーが減っているというのは正しいようです。

では何故、バーが減っていっているのでしょうか。

健康・経済的側面

健康を気にするフランス人が増え、お酒を飲む人や量が減ったという側面があげられます。以前に比べ、人がバーでお酒を飲む量は著しく減少しました。バーは経済的に苦しくなり、やむなく閉店するというケースが後を絶たないようです。

またスーパーでお酒を買い、家で飲むほうが安くすむため、バーに行くのを割高だと感じる人が増えた影響もあります。

若者のバー離れ

若者はインターネット環境で遊ぶことを学び、遊ぶために外に行くという感覚が薄まりました。*2今の若者には、つまらないときに外に行くという感覚がありません。

友達と遊びたかったら、お酒を買って、家でネットフリックスやゲームを楽しみます。わざわざバーなどに行って、お金をかけて外に出て遊ぶより安く済み、家で自分たちの好きなことができるのを好む傾向にあるようです。

ライセンスの規制

バーやカフェでアルコール全種類を扱うためのライセンスの数を、国が減らしているためです。ライセンスに限りがあり、様々な規則が付け足されたため、面倒さとバー利用者の減少を見て、バーを新たに作ろうという人が少なくなっています。

バーの減少は止められない

このような理由によってバーが減少している現代、都会以外でバーの減少は止められない状況になっています。かつては、小さい村でもせめて1つはあったバーは、今や都心部にだけ集中していく構造が出来あがってきています。

そのことは本当に、教会に行く人の減少と関連しているのでしょうか。次は教会の減少について見ていきます。

教会に行く人の数の減少

教会に行く人が減ったのは確かなようです。

1981年、フランス人の70%がカトリック信者でした。その内の17%は毎週末教会に行っていました。

それが2018年になると、フランス全人口の32%はカトリック信者。その内の7%が月に1回教会に行くという調査結果があります。特に若者の信者減少は著しく、18ー29歳の3%がカトリックの教会に行くなどの行為をしているとされています。そのためカトリックを信じていない人の数は、1981年の27%から2018年の58%と倍になりました。*3

これらのことからキリスト教信者が激減していることが見て取れます。また、キリスト教を信じている人は現在、大きい街に集中しているとも言われています。

また行く人だけでなく、神父の数も激減しました。1995年から2017年までに神父の数は28.694人から14.786人の半分まで減りました。。

このように数字で表されているように、カトリック信者の大幅な減少とともに、教会に行く人の減少が明らかになっています。

バーと教会に行く人の減少の関連性

田舎でバーが著しく減っている様子・田舎のカトリック信者が特に少ない様子から、少なくとも田舎において、バーの減少と教会に行く人の減少が相互に繋がっている可能性があります。教会のあと仲間でバーに行く文化は、教会とバーお互いの相互関係によってなりたち、教会かバーのどちらかが崩壊したら両方崩壊するのかもしれません。

ただどちらの「減少」が先というのは、実際のところ細かくは分かりません。ただ、教会とバーが繋がっているのは日曜日のみ。バーは日曜日以外でもお客さんが来たら、お金を稼げるはずなので、バーに来る人が減ったというのは教会に影響があったのではないかと考えられます。

教会に行く人の中には、家族などからによる義務によって行く人が少なくありませんでした。そのような義務によって教会に行っていた人にとって、その後のバーでお酒を飲むことはとても大事な存在だったことは間違いないようです。そのバーが無くなることは、義務で行く人達の教会に行く意味が失せたことにも繋がっているようにみえます。

バーが減ることの意味

このように、教会とバーは表には見えない関係で繋がっていたといえます。バーは人達の憩いの場として、長い間機能していたのです。

インターネットが出てくる前、遊ぶためには外に行くのが普通であった時代に、バーは人達にとって重要な場所でした。そのバーが現在、インターネットの発展とともに、著しく若者における需要が低下していっています。

遊び場が外や公共施設から、家などの個人スペースへと移動していったのです。そのことによる社会の変化の過程に、バーの必要性が薄れた結果が見て取れます。またそのバーの減少は、教会へ行く人の減少など、その他文化への影響の道筋が見えることは確かなようです。

 

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