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カカオ農家の人はチョコレートを食べたことがない?知られざるチョコレートの実態

今やコンビニでもスーパーでも当たり前のように、並べられているチョコレート。そんなチョコレートを作るために必要なカカオ。それは一体どのような環境でできているか知っていますか?

カカオ豆は、一般的にはコーヒー豆が作れるエリアで栽培できると言われております。だいたい赤道付近ですね。最近は、小笠原諸島でも栽培が始まり、チョコレートを作り始めたそうですね。

フランスの雑誌“sciences et Avenida”に、チョコレートの原料カカオについての記事がありました。

以下に内容を簡単にまとめます。

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コートジボワールガーナでは、森を切ってカカオの木を植えてきた。ほとんどの農家は、5~6ヘクタールの敷地でカカオを作っている。9ヘクタールあるとなかなかのお金持ちになることができます。

実はコートジボワールとガーナは、世界中のカカオの70パーセントを生産しているといわれている。その農家たちの土地のほとんどは、木を切って作ったたものである。土地を得るために木を切るのだ。またカカオの木は低木のため、それより大きい木を切らなければならない。

しかし他の木を切って、カカオを生産し続けると土の栄養分が無くなっていく。なので、そのままで時が経つと良いカカオが作れなくなっていく。

2015年に西アフリカで干ばつがおきた。そのときには、カカオの生産量が落ち込んだ。

西アフリカの南の農家は、カカオをたくさん植えた。なぜならそこは、アフリカの中でも1年間に多くの雨が降る地域だからだ。実は第二次世界大戦の終わりの頃、そこにはほとんどカカオの木がなかった。そこは、ただの原始森であった。しかし、世界的にチョコレートの人気が高まる中で、アフリカの多くの農家がそこでカカオ栽培を始めた。

他国からも西アフリカに人がやってきた。なぜならそこでは最初にそこを開拓したものが、そこの土地を得られるというルールしかなかったのだ。1960年ころからカカオの木は木陰がないと大きく育つとわかり、彼らは大きな木を切っていった。そして気づいた時には大きな木を切るだけでなく、すべての木を切るようになっていった。木を切る会社や、カカオ農家はどんどんお金持ちになっていった。そしてそのようなことは現在も続いてる。

カカオはいつも取れるわけではなく、5月と11月頃から1月頃くらいまで収穫することができる。よって、それ以外のシーズンではカカオを売ることができない。つまり収入はないのだ。また、買う側もいつカカオをもらえるかどうかわからない。

全てはカカオの気分による。

普通は、1ヘクタールに400〜600kgのカカオをアフリカで収穫している。しかし本来のその土地では、1000kgぐらい取れるはずらしい。カカオの木だけになってしまったために、土が悪い状況になってしまったと推測されている。

 また、作ってる人がチョコレートになるまで加工するわけでもないため、農家はどのようなカカオが美味しいチョコレートになるのかも知らない。つまり、ただカカオを作っているだけで、それがいい商品かどうかを知らない。このカカオが、チョコレートというものになっていることも生産者は知らない。せめてこのことを知っていれば、生産者側のカカオ生産にたいする考えも変わるかもしれない。

大体のカカオ農家の人は、チョコレートを食べたことがないのだ。

カカオの病気も始まっている。それは、カカオの木を移動させた結果起こりうるものである。農薬を使ってはいるが、すでに土は栄養がないためもはや効果はない。昔はカカオのなりが悪くなったら、違う場所を開拓していた。しかし今は、そんな土地もなくなってきている。

2000年ごろから、ニワトリの糞による肥料を使い始めた。その結果、少しづつカカオの木は良くなっていった。カカオ農家の人たちは、農業学校にも通ったわけでもない。そして専門家もいない中で、独自でカカオ栽培を工夫しながらやっている。

カカオの木を植えている場所は、1970年に400万ヘクタールであった。時が経ち、2013年には1000万ヘクタールにもなった。2.5倍である。増えた部分は全て森というわけでもないが、2~300万ヘクタールの森が切られたといわれている。

この地域は、地球温暖化の影響により干ばつが増える可能性が多くある。もしそうなった場合、カカオを植えられる場所はさらに少なくなっていく。

大きな木を切らなくても、元々カカオの木は大きな木の周りにあったため、大きな木がある環境の方が実はカカオのために良い環境であった。生産量が少なくなってしまうが、その方がカカオの木のためにはなるのだ。

しかし、農家はそれで家計を養っていかなければならない。簡単にやり方を変えられないのが現状だ。

 

1番の大きな問題は、最初カカオは1kg1ユーロで売っている。それがヨーロッパに入ってくると、1kgのチョコレートは150ユーロくらいまで上がることがある。フェアトレードが行われていないのが現状である。

もしカカオが高値で取引されていたら、カカオ農家やアフリカの環境にとって問題は少なくなってくだろう。

 

以上が、フランスの雑誌“sciences et Avenida”2019より要点を抜粋。

 

チョコレートの裏側

つまり、カカオ農家のほとんどはチョコレートを食べたことがなく、カカオのその後を知らないのです。その結果、良い製品を作るどころか量を求める生産になっていき、生産環境は劣悪化していっています。

アフリカの農家・生産者側と我々消費者側の摩擦は、カカオや地球環境にとって良くない状況を導いています。

 

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